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インタビューVol.2 「鮨 あま木」天木雅章氏
2022.08.27
一期一会のもてなしの心と情熱を乗せる器。
器を通じて出会った『鮨 あま木』大将 天木雅章氏と語る。
もてなしと感謝の心を表すしつらえ
「すし屋は大体、つけ台があって、握りとかお作りとかもその上に置いて・・・というイメージが一般的ですけど、自分はやっぱり器が好きなので、すし屋のなかでも器を使ってる方だと思います。」
気さくにインタビューに答えてくれるのは、「予約が取れない名古屋随一の高級寿司店」と呼び声高い【鮨あま木】の大将天木雅章氏。来店の度に欠かさず次の予約を取り、足蹴く通う常連客たちは、あま木での食事を「店主がもてなす宴」と、称す。
「宴」を彩るのは、大将の出身地・知多半島など地元から仕入れた厳選の食材、食通をうならせる技と味、器をはじめとするしつらえ。これらのこだわりは天木氏のもてなしと感謝の心から生み出される。
先輩から受け継ぐ情熱とこだわり
大学卒業後、料理人を志した天木氏。修行時代、周りの先輩は年下ばかりだったという。
「魚もろくに触らせてもらえなかった。その中で様々な環境をめぐり、多くの出会いを通じて、いい先輩に恵まれた。自分は落ちこぼれだったけど、意識が高い先輩方の中に入らせてもらったことで自分も頑張れたかな。」
料理人としては遅咲きだという天木氏が、店を構えたのは7年前のこと。
ある日店を訪れたのは杉浦。
今では珍しい器屋の飛び込み営業に、はじめは驚いたという天木氏。
「すごく熱い方だなと思いました。それで自分、その場ですぐ注文したんです!」
杉浦の熱意と持ち込まれた器の美しさに感動したという。
「その時はまだ先輩方が使っている器屋さんだと全然知らなくて。でも以前、ある先輩から多治見に良い器屋さんがあると聞いていたから、後々それがヤマ六さんだと知って、え!って。繋がりを感じました。」
一方、杉浦も「ビビッと閃いた」と話す。直感がないと飛び込みはしないと杉浦。「もう本当にビビッときて。お会いしたら、『一緒にやりたい』と強く思いました。」
ご縁がつながった瞬間だった。
共に作り上げる「器」
「こんな器ある?って聞くと、僕の好みに合いそうなものをいくつか持ってきてくれる。その時のレスポンスが早い!(笑)」
天木氏のリクエストを受けると、杉浦はすぐ店に足を運び、たくさんの作家の数ある作品の中から、好みや季節、用途に合わせた器を提案する。提案を受けて天木氏が閃いたイメージを共有し、その想いを持ち帰った杉浦が、作家との打ち合わせを重ね、色や大きさ、イメージなど試行錯誤を繰り返した試作品を製作し、また天木氏へ。
「出来上がった時はドンピシャ!っていう感じ。(笑)」
「使う材料が同じでも器が変わると違う料理に見える。食べるときの気持ちも変わる。」
天木氏の器への想いは強い。だからこそ、使い手と作り手の間に立ち、「一緒に作り上げる」ことに徹底的にこだわる杉浦の、ヤマ六の器を選ぶのだという。
出来上がった器は、カタログにもインターネットにも載っていない。他では手に入らない。天木氏の熱い想いを乗せた「あま木」のための器である。
器が後押しする「挑戦」
あま木の「宴」は常に驚きと感動を与え、人の心をつかんで離さない。
その背景をのぞき込めば見えてくるのは、「お客様を楽しませたい」という想い。天木氏の独自の感性と挑戦を、器が後押しする。
器を囲む天木氏と杉浦。
「目標は50周年!(笑)その日は、最高の器に最高の料理を乗せてお客様へ感謝を伝えたい。そして、お客様へもありがとうございますってこだわりの器を渡せたらいいな。」
これからもお客様を喜ばせる「宴」でご縁を繋いでいきたいと天木氏は語る。
一期一会のもてなしの心と先輩から受け継ぐ情熱を、器に乗せて。
≪白木のカウンターに映えるつけ台。左奥
の包丁飾り棚には、天木氏の愛息子の包丁が。今後の「成長」が楽しみ。≫